水戸街、奥深く。

街のヒト・コト

はじまりの季節に旅する
現在と過去、そして未来。
古き良き水戸を訪ね、
新しさを知る。

中心市街地から少し足を伸ばし、旧・谷中方面へ。
紫陽花の名所としても有名な日本庭園「保和苑」を中心に水戸の歴史を物語るスポットが点在するこのエリアは、当時、多くの人で賑わった門前町としての面影も漂う。
そんなノスタルジーに浸れる水戸谷中界隈を、うららかな陽気に誘われ、気の向くままに歩いてみる。

その昔、水戸城最外堀があった高台に鎮座する「水戸八幡宮」。五軒・新荘・常磐学区の氏神として地域に親しまれ、農工商・厄除け・子育て・戌亥年生まれの守護神のもとには多くの人々が訪れる。 拝殿の左にそびえる樹齢八〇〇年を超えるご神木、国指定天然記念物「御葉付公孫樹(おはつきいちょう)」は葉の先に実を結ぶ珍しい樹種で、子授け・安産・無事成長などご霊験あらかた。樹高、樹齢ともに同種の公孫樹では全国一位を誇り、水戸市指定天然記念物の「大欅(おおけやき)」と共に静かに物語る。
茨城百景、茨城観光百選、市民が選ぶ水戸百景にも上位で選出される景勝地で、遠くに日光などの連山、眼下には那珂川の清流を望む景勝地。5月下旬頃から境内を彩る60種6,000株を超える紫陽花も、これからの季節の楽しみの一つ。

春は桜、秋には紅葉の名所として季節の移ろいに目を和ませてくれる「祇園寺」は、明の心越禅師(しんえつぜんじ)の開山、徳川光圀公の開基による曹洞宗の名刹。

境内には心越の墓塔、元禄七(一六九四)年建立の穢跡(えせき)金剛尊天堂、水戸藩重臣で幕末期に諸生派として活躍した市川氏・朝比奈氏らの墓所の他、明治・大正期に活躍した水戸出身の芸術家たちが眠る墓があり、墓参者も多い。 今年で没後一○○年を迎える「カルピスの包み紙のある静物」などの作品を残した洋画家・中村彝(つね)の墓前に手を合わせ、次なる目的地へと。

谷中界隈の象徴ともいえる「二十三夜尊桂岸寺」の仁王門をくぐり左に歩を進めると、安政の大獄、桜田門外の変、坂下門外の変以後に殉した志士たちの霊を慰める「水戸殉難志士の墓」さらに奥へと進むと明治維新100年を記念し造営された「回天神社」その境内には天狗党が捕縛された16棟の鰊蔵のひとつ「回天館」が悠久の時を刻み、その歴史を後世に伝える。

桂岸寺に隣接する庭園で、紫陽花の見どころとして有名な「保和苑」。その名は、遠く元禄時代、徳川光圀公が寺の庭を「保和園」と名づけたのが始まりといわれる。その後、昭和初期には地元有志の手によって拡張整備され、池に築山を配した純日本庭園になり「保和苑」に改名。昭和三〇年代には紫陽花の植栽が行われ、初夏になると苑内に約100種6,000株のあじさいが咲き競い、今日まで「水戸のあじさいまつり」が盛大に開催されてきた。
今年で第50回目を迎える「水戸のあじさいまつり」は6月8日から6月30日まで開催。俳句大会、写真撮影会、野点茶会などの参加型のイベントもあり老若男女が楽しめる。

先人たちの思いに触れ、この土地の歴史を巡る旅の最後は、水戸の伝統工芸品で締めくくろう。

江戸時代初期が発祥と言われる「水府提灯」の老舗として親しまれ2025年に創業160年を迎える「鈴木茂兵衛商店」。その伝統を守りながら、ビジュアルアーティストのミック・イタヤ氏が手掛ける「MICシリーズ」や海外メーカーとのコラボ商品など現代の暮らしにフィットした新しい提灯のカタチを提案し続ける。

「提灯に触れる機会を増やし、『提灯のある街』としての認知度を上げることで地域に貢献したい」と話す鈴木紘太さん。


その機会の一つとして「水府提灯を作ったことがある」という人が増えるよう、子どもから大人まで参加できる提灯作りのワークショップを精力的に開催。イベント会場やショッピングモール等で開催されるので、情報をお見逃しなく。

【鈴木茂兵衛商店】水戸市袴塚1-7-5/9:00-18:00 /土日休
※6月~8月12日まで水曜のみ休業
水戸の伝統工芸品「水府提灯」の老舗「鈴木茂兵衛商店」
伝統はそのままに、これまでの概念を覆す個性豊かな商品ラインナップと、これからを照らす提灯の可能性に驚くはず。

izm

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