|
骨董品の魅力とは何だろう。何十年、何百年の時を経て今ここにある品物を手に取った瞬間に伝わる、歴史や作者の想い。そんな感覚を得るからこそ、もっと深く知りたいという想いが沸いてくる。
昭和10年からお店を始めている「十銭屋」にも、そんな骨董品の数々が眠っている。倉庫に大切に置いてある品々の中から、奥様が見せてくださったのが「三十六歌仙茶器」という九谷焼の夫婦湯呑み。「昭和初期、大体60年以上前のものかしら・・・。」と言う。
全て手で描かれた湯呑みはとても豪華で美しく、手に取って見るのも緊張してしまうほどである。「三十六人撰」に名をはせた様々な歌人が描かれているであろう湯呑みの周りは、実に繊細で人物の表情や着物の絵柄まで忠実に描かれている。そして何より色使いがとても鮮やかで、思わず魅入ってしまう。中に描かれた文字ももちろん手書きで、内容は定かではないが、とても細かく正確に書かれた文字を見ていると、「どのようにこんな細かい文字を湯呑みの中に書いたのだろう・・・。」と想像力をかきたてられる。今ではちょっと値段をつけることが難しい作品だ。
|
 |
そしてもう一種類、赤山水が描かれた湯呑みもまた、シンプルながらも綺麗で存在感があり見惚れてしまう。「昔はよく問屋が『良いものがあるから買ってくれ』と言って売りに来ていたのよ。」
こう話す奥様は、今も昔も良いものというのは自分の目で見て確かめている。
どちらも倉庫で保管しているのが惜しいくらい美しい代物だが、飾る事も恐れ多い気がする・・・。そんな事を感じさせる骨董品である。
|