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ほおばる 2007.03.26
わさびドレッシングでいただく「あなごの白焼き」¥800。
普通のあなごの何倍もあり、肉厚でふわふわと
しているので噛まないうちに口の中で溶けてしまう。

泉町の隠れた老舗店「味処にし村」。店を構えて27年、ご主人の気さくな笑顔と新鮮なお魚に代表される数々の料理、美味しいお酒で私たちの心と舌を満足させてくれる。

そんな「味処にし村」でイチオシの料理の一つが「あなごの白焼き」。

まず、頬張る前に驚くのはアナゴの大きさである。「4匹で5kgになっちゃうんだから、1本1kg以上あるアナゴ。普通のアナゴは大体300gくらいだからね。」とご主人。

仕入れたばかりのアナゴをご主人が大きさの順に並べてくれた。一番小さいものでも充分立派なのに、大きいものは目にした事がないくらいの迫力である。

これらのアナゴは、大きさによって料理で使い分けられる。白焼きで使われるアナゴは大きいので、素材の味そのものを充分に堪能出来る。

「いつもはこれよりもっと太いんだよ。久慈浜港の底引き漁で獲れるもので、今日はあっても明日は獲れるか分からないんだよね。」確かに、天候の変化で漁に出られなかったり、水揚げ量や質も変わってくる。だから毎日お店で出せるかどうかも分からないという。

このアナゴを口の中へ頬張れば、噛まずに溶けていってしまうほど柔らかい身と、わさびタレが絡み合って至福の瞬間を味わえる。そしてタレの酸味とわさびの香りが鼻に抜けていく。

「何故このタレにアナゴを合わせようと思ったのですか?」という質問にご主人は、「普通はわさび醤油が一般で、醤油がアナゴに染み込んでいってしまうからアナゴの味が消えてしまう。ドレッシングだと、タレが染み込まずに皮がパリパリの状態で食べられるんです。私はお酒好きで、酒を片手にゆっくりと時間をかけて料理を楽しむ。そんな時に思いついたんです。」と話してくれた。

素材そのものを生かし、タレが絶妙にマッチする。お酒の肴にはもちろんのこと、お酒を呑まない人でも幸せをたっぷりと感じる事ができる一品である。


大中小揃ったあなご達。いつもはもっと大きいそうだ。 コクがあり滑らかな「湯葉豆腐」。
2階は10人の個室が3部屋ある。全てつなげると40人近く入れ、宴会も可能。 レジの上にある蜂の巣は20年近く前のもの。2階にはもっと大きなものがある。
毎週月曜日に新しいお花に活けなおし、お店の外からでもシャッターを閉めてからもこの上品な生け花を眺めることが出来る。「お客様が喜ぶからやめられないよね。」と話すご主人、この細やかな気遣いがさらに味わいを深め、人々を癒すのだろう。

毎日作っている「湯葉豆腐」。ご主人が200ccの豆乳から作っており、こちらは付きだしで出されるという。

豆腐の上にわさびが少し盛られ、わさびのピリッとした辛さと湯葉豆腐の甘さが実に合う。大豆の香りを楽しむ為に最初はそのままで。味と香りを楽しんだらちょっと醤油をたらせばまた、違う風味を味わえる。ヘルシーでお腹にも溜まるので女性にも嬉しい。三拍子も四拍子も揃った、付きだしには勿体ないくらいの料理である。


夜のメニューはお酒に合う料理や新鮮なお刺身などを取り揃えており、カウンターに座れば料理を頬張りながらご主人との会話も楽しめる。2階席は10人入れる個室が3部屋あり、全てつなげれば40人近く入る宴会場に早変わりする。

またランチメニューは、お刺身定食が¥1,000。日替わり定食が¥700で、こちらは毎日ご主人が市場に出向き、その日あったものを選ぶ。

鯖の味噌煮定食や天ぷらなど「今日は何だろう?」という楽しみと一緒に足がお店へ向いてしまう。


子供の頃から魚が好きだったというご主人。「『風邪をひくとマグロの刺身を食べれば治ってしまった』とよく母親が言ってたよ。当時はなかなかマグロなんて食べられなかったからね。」本当に自然体でニコニコと優しい表情で話してくれるご主人。弟さんも同じ職業に就き、水戸市内にお店を出している。兄弟揃って同じ仕事をしながらお互いを高めあえる関係は、何だか憧れてしまう。

連日予約で埋まってしまう程忙しい日々を過ごすご主人。「せっかく来ていただいても、予約中心なので入れない場合もあります。」

ハッキリと伝えるその言葉の中にも温かさが伝わる。

一つ一つ丁寧に調理し、お客様に対応するご主人の姿を見ていると、リピートするお客様の気持ちも良く理解できる。

ご主人の優しい笑顔と丁寧な仕事。これだけあれば、一日の疲れは、吹き飛んでしまうだろう。