きわみ 2006.06.12
左上が人気の花瓶のひとつ。
こんな風に、ちょっとしたお花を生けてお花と花瓶の
両方の良さを感じて味わっていただきたい。

新しくなった京成の西口通りには、きれいに舗装された道に様々なお店が並んでいる。その中の一つに、「アートぷらざ」と書かれた看板を目にする。白を基調としたシンプルなお店である。
入り口のウィンドウには絵画など、数々の作品が飾られていて、ちょっとお店をのぞくと店内にずらりと飾られたアートの数々を目にすることができる。

店内に入り視線を巡らすと、益子焼が目に飛び込んできた。どれも優しい作品ばかりだ。
黒や茶色の少し無愛想な、しかしながら、どこかに温もりのある益子焼。今や全国的に名だたる焼き物のひとつ、益子焼の数々が、ここ“アートぷらざ”にある。

幕末に開窯した益子焼は、最初から茶碗などとは無縁の日常雑器の窯場としてスタートした。その理由のひとつとして、土が挙げられる。採掘量は豊富だが陶土が粗く、精巧な器には向かない。もっぱら土鍋、土瓶などを作るのに適していたからだ。

昔は、職人が梅干入れなどを中心に作っていたとも言われている。その職人が時代と共に作家へと移り変わり、この粗い土への工夫をそのままに、益子焼の多様なバリエーションへとつながっているのである。
その様は、手作りの雰囲気を全面に醸し出し、現代の新しい器の技法やデザインに加え、華やかさも感じられる。様々な要素が加わりながら、この瞬間も新しいスタイルとして生まれ変わり続けている。
益子はまだまだ豊かな自然の残る窯里であり、そこから生まれる作品たちは、温かく懐かしいものばかりなのである。


ずらりと並んだ益子焼の数々。この中からお気に入りの一品を。 こんなかわいらしい器でご飯を食べたら、嬉しさ100倍。おいしさ200倍。
店長の杉山さん。アートの素晴らしさを教えてくれる。 益子焼の他にも絵画や掛軸など様々な作品が並んでいる。
入り口のウインドウからも作品を見ることが出来る。歩いている途中でも自然と目に止まってしまうようなものばかり。ほっと一息。ちょっと幸せな気持ちになる。

日常に使い易いこの益子焼が現在、女性たち、特に主婦層に人気がある。
「益子焼は温もりの美。品質も良く内容的にも充実しているにもかかわらず、お手頃な価格のものばかりです。」とオーナーは語る。

オーナーの中に、「手頃な何かをやりたい」という思いがずっとあった。陶芸ブームの影響もあり、まず焼き物が頭に浮かんだという。そして数ある焼き物の中から、場所も近く、品質も値段もピッタリだった益子焼に決めたという。
確かに、店内の商品を見てみると、200円台からの小皿などがある。マグカップや湯のみなども500円からあり、ちょっと値段が張っても1,500円くらいで、とても手を伸ばしやすい。
実際に手に取り思ったことは、このお店で取り扱っている物は全体的に軽いものばかりという事である。やはり毎日使うものは、使い易さが重要なポイントである。こんなところにも、オーナーのちょっとしたこだわりがあるのかもしれない。


焼き物は、日常で数が足りていても、ちょっと変わったものやかわいいものを見ると、ついつい手が伸びてしまうのが女心だろう。気分転換にゆっくり鑑賞しながら楽しむのもまたよい。オーナー自身もどういうものが人気あるのか、仕入先から情報を得て、偏らないように柔軟に商品を入れ替えている。

現在一番人気があるのは花瓶だそうだ。立派で豪華なお花を生けるのも素晴らしいが、野に咲く素朴でかわいらしいお花をちょっと生ける。生活の一部としてこんなおしゃれをする時に、益子焼はその趣を深める。
一方、男性に人気があるのは観賞用陶器であり、コレクションしている人も少なくないという。集められた作品を眺めつつ、自分の時間を楽しむ。「なんて贅沢な一時だろう・・・」と見入る人の顔が頭をよぎった。


一つ一つ異なった顔を持つ作品の風情を、ぜひ自分の目で見て、手で触って確かめて頂きたい。
必ず、「これだ!」というものに巡り会えるだろう。